マイナーすぎて伝わらない技術史2
第二次世界大戦中にドイツの高度な暗号機「エニグマ」を解読するために連合国側が開発した専用の機械群を「ボンベ」と呼ぶ。
コレはイギリスのブレッチリーパークで異能の天才アラン・チューリングらによって開発された「チューリング・ボンベ」。
ミニフィグと並べると割と良いサイズ。
ちなみにミニフィグは「ドクター・フー」の11代目ドクター。チューリングと「ドクター・フー」は英国つながりだし、ドクターのレトロな格好は大戦中に開発された「チューリング・ボンベ」に妙に似合う気が…。
実物(と言っても再現品だろうが)はこんな。
…なんかドラム状のパーツの配色が資料によってまちまちなんですけど。
どうもコレ、外したり並べ替えたりできるっぽい…
ちなみにイギリスは「チューリング・ボンベ」のおかげでドイツの暗号は筒抜けだったのに、「あまり裏をかきすぎると解読できてることがバレるから」という理由であえてスルーし、出さずに済む犠牲をわざわざ出してみたり、戦後に「解読不能の暗号機」としてエニグマを他国に売りつけたりしていた。解読可能であることは機密中の機密であり、そのためチューリングの功績は世間に知られていなかった。やがて彼は同性愛者であることを理由に逮捕され、ホルモン療法を受けさせられたが、その間も国家を救ったヒーローではなく「ただのおっさん」として扱われた。最終的に彼は自殺なのか事故なのか判然としない死を遂げた。
チューリングの業績は多くの分野にわたる。
初期コンピュータの開発を行い、「万能チューリング・マシン」や人工知能に知性があるかを見分ける「チューリング・テスト」、生物の模様を化学によって説明する「チューリング・パターン」といった重要な概念にその名を残す。
ちなみにネット上で時おり、自分がロボットではなく人間であることを証明するため、歪んだ文字列を読み取って入力させられることがあるよね…
アレは「CAPTCHA」と呼ばれ、その意味するところは「Completely Automated Public Turing Test To Tell Computers and Humans Apart」、つまり「コンピュータと人間を区別するための完全自動化された公開チューリング・テスト」だったりする。