LEGO野生児(インドア系)の三無主義。

LEGOやナノブロックでなんか作る〜。

『困難を乗り越えて星の世界へ』


ボイジャー1号および同2号は1977年に外惑星と太陽系外を探査するために打ち上げられた宇宙機である。

 

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ミニサイズボイジャー

パラボラ状の高利得アンテナは手持ちのパーツに白が無かったのでタンに…。


1号は木星土星、2号は木星土星天王星海王星を次々と訪れ、現在も稼動しながら太陽系外を別々の方向へ向かって突き進んでいる。
スウィング・バイを繰り返し、1号は人類が製造したものの内で最も速く、最も地球から離れた物体となった。【註1】

 

 

ボイジャーが送ってきた最後の画像は、太陽系全体(太陽と撮影可能だった6つの惑星)を39枚に分割したものだった。
これは「ファミリーポートレート」(家族写真)と呼ばれている。

 

 

ボイジャーには「地球の音 (The Sounds of Earth)」というタイトルのレコードが搭載された。
いつの日か、外宇宙の果てで知的生命体がボイジャーを回収した時のための、人類からのメッセージだ。


カーター大統領はこんな公式コメントを出している。

「我々は宇宙に向けてメッセージを送った。銀河には2,000億個もの星があり、いくつかの星には生命が住み、宇宙旅行の技術を持った文明も存在するだろう。もしもそれらの文明の一つがボイジャーを発見し、レコードの内容を理解することができれば、我々のメッセージを受け取ってくれるだろう。我々はいつの日にか、現在直面している課題を解消し、銀河文明の一員となることを期待する。このレコードでは我々の希望、我々の決意、我々の友好が、広大で畏怖すべき宇宙に向かって示されている」


銅板に金メッキを施し、超純粋ウラン238でコーティング【註2】されたこのレコードには115枚の画像と多くの自然音、世界中の音楽、55種類の言語によるあいさつ、アメリカ大統領と国際連合事務総長のメッセージ文などが収められた。

 

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ゴールデンレコードも再現。


収録された大統領メッセージはこうだ。

「これは小さな、遠い世界からのプレゼントで、我々の音、科学、画像、音楽、考え、感じ方を表したものです。私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像の中に再び私たちが甦ることができれば幸いです」


…人類向けのメッセージとは矛盾してる上、随分後ろ向きだな~…


このほか、レコードにはラテン語のモールス信号が収められている。
『ad astra per aspera』、 「困難を乗り越えて星の世界へ」という意味だ。

 


ボイジャーは史上初の太陽系を離脱した人工物になった。
現在も1号・2号ともに稼働中であり、原子力電池の出力低下にともない少しずつ観測装置の電源を切ってはいるものの、稼動を完全に停止するのは2025年頃の予定。

だが宇宙は果てしなく広大で、地球に最も近い恒星系、アルファ・ケンタウリまで直行しても8万年かかる。
一号は4万年後にへびつかい座AC+79 3888近傍(1.6光年)を通過予定。
2号は約29万6000年後にシリウスから4.3光年の距離まで接近する。


彼らは今この瞬間も人類のメッセージをたずさえて、極寒の虚空を、未踏の闇を、たった一人で飛行している。
太陽系に帰ることは、二度とない。

 

 

 

レコードに記録される予定だった画像の中には裸の男女の写真があった。
しかしこの画像はNASA内部で問題となり、結局シルエットのみの収録となった。

 

やはり敵性うちゅーじんに地球人の生殖の秘密を知られてはマズいからな!

 

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ミニミニサイズもあるでよ〜!

 

 

 

 

【追記】

ゴールデンレコードに収録された画像は「Murmurs of Earth: The Voyager Interstellar Record」という本で見ることができる。
この本、15年ほど前に古本屋で200円で売られていたのを発見。
ビニール袋に包まれていたので中身は確認できなかった。
洋書でどうせ読めないが(タイトルすら理解できず、「地球のみゅるみゅるす? 何それ」と思っていた)、裏表紙にあるボイジャーの写真がえらく格好良かったので本棚に飾るつもりでジャケ買い

ところが開封してみたらボイジャーのゴールデンレコードに関する本になっていて、レコードに収録された全ての画像が掲載されており、資料性の高さにびっくり。

著者はカール・セーガン、F.D.ドレイク(ドレイクの方程式で有名)、アン・ドルーヤン、リンダ・サルツマン他。
リンダ・サルツマンは二番目の、アン・ドルーヤンは3番目のセーガンの妻である。
この本が発行された当時はリンダ・サルツマンと結婚していたらしい。
…セーガン周辺の人間関係はややこしいですな。

ちなみにF.D.ドレイクは地球外文明の数を推測する「ドレイクの方程式」で有名な人。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ドレイクの方程式

ついでに、「フェルミパラドックス
http://ja.wikipedia.org/wiki/フェルミパラドックス
ハンガリー人は宇宙人だったんだよ!

 


【註1:最も速く】

秒速40.18km。
ただし、地球の公転速度(秒速約30km)を加味すると後続のニューホライゾンズ(こちらは秒速約30km)の方が速い。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1032228020

しかしWikipediaではボイジャー1号の速度は秒速17.09kmとなっている。
公転速度による修正前の数値なのか?


なお、スウィング・バイは天体の重力を利用して加速する方法だと思っている人が多い(SFマニアの岡田斗司夫ですらそうらしい)。
だが重力によって得たエネルギーはその重力を振り切るのに消費されてしまう。
実際には重力につかまってる間にその天体の公転するエネルギーをもらって加速・減速している。

ここの動画が解りやすい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/スイングバイ
この動画は確かWkipedia内の優れた説明に与えられる賞をもらってたはず。

 

【註2:ウラン238でコーティング】

ボイジャーを拾った知的生命体が、放射性同位元素の半減期ウラン238の場合は45.1億年)から逆算してレコードの製造年代を決定できる様にしてある。

 

 

 

※データは特記していなければ大体ソースはwikipedia先生