宇宙艦艇23
今回は前々回に紹介した標準型小型シャトルのバリエーションたち。
【標準型小型シャトル ブースター装着型】
ブースター部分のカラーリングは勿論スペースシャトルを意識したもの。
この時代、スペースシャトルは伝説の名機扱いなのだ。
まぁ現在の我々がライトフライヤー1号やスピリット・オブ・セントルイスを知っている様なものだろう。
ちなみにこのブースター部分はスペースシャトルの様にすぐに切り離される訳ではなく、基本的には装着されたままである。
【標準型小型シャトル カスタマイズ】
標準型小型シャトルをベースに増強を図った船。
灰色部分が追加された部分。
何故わざわざこんな改造をするのか、と言えば…現代人が普通の自動車を魔改造してホットロッドややたら長いリムジンを作る様なものであろう。
【標準型小型シャトル 超大型ブースター付き】
恒星間を航行するには跳躍航法が使われ、そのためのエンジンはシャトル(恒星間往還能力を有する船)にも標準装備されている。
が、それとは別に通常航行でどれだけ光速に近づけるかという試みにスポーツ的に熱狂する人々もいる。
航空機の方がはるかに速いのに自動車による速度記録にこだわり続ける人々がいる様なものであろう。
これはレコードブレイカー(速度記録機)として開発された巨大なブースター付きの標準型小型シャトル。
なお、パイロットはウラシマ効果でものごっつ時間の流れに取り残されることになる。
しかも新記録を樹立しても、戻ってくるまでに更なる新記録が打ち立てられることが多く、あまり報われないのにそれでも挑戦者は後を絶たない。
1段目と2段目をバラしたところ。
1段目の束ね型エンジンもバラしたところ。
…なんか今回の設定、未来を現在のアナロジーとして捉えた部分が多いなぁ…。
昔の人が想像した『未来の機械化された馬車』は「自動で動く車体」ではなく、「機械の馬が曳く普通の馬車」だった。
人間の発想はこの様にその時代の制約を受けている。
私の設定も後世から見ればバカバカしいものなのかもしれない。
だが一方で私が歴史から学んだことは「いつの時代もヒトのすることはあまり変わらない」ということだったりする。
例えばある年、お盆にお寺に行ったら、恒例の地獄絵の特別公開があった。
本堂には素人目には区別のつかない、似た様な仏像がズラズラ並ぶ。
帰りに門前で生姜の効いた冷やし飴を飲んだ。
レトロな飲み物だ。
これは現代の日常生活とは乖離した、得難い経験だった。
だが考えてみれば我々は今も、夏場に涼を求めてホラー映画を観たり、素人目には区別のつかない似た様な形の「凄い力を持つ架空の存在の像」、つまりガンプラをズラズラ並べて悦に入ったり、ジンジャーエールという生姜の効いた清涼飲料を楽しんだりしている。
ヒトのやることはいつの時代もあまり変わりがない。
そんな歴史観が今回の設定に滲み出てるのかもしれない。