LEGO野生児(インドア系)の三無主義。

LEGOやナノブロックでなんか作る〜。

【ナノブロ】ミレニアム・ファルコン

 

ミレニアム・ファルコン

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右から。

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サイズはこんなもんで。

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ナノブロなので、掌にすっぽり収まる良いサイズ。
とはいえナノブロとしては大型作品の部類に入る。
おかげでパーツをめちゃめちゃ消費した。

その分、細かいディテールを追及できたが…
ファルコンはものすごくデリケートなフォルムをしているため、ディテールにプロポーションが喰われないようにするのに腐心した。

ファルコンはざっくり言えば円盤型だが、わずかに算盤玉の様に中央が膨らんでいる。
さらに側面にも特徴がある。
スターウォーズに登場する宇宙船の多くは船殻が上半分と下半分に分かれており、側面には上下船殻のつなぎ目として深いスリットがはしる。

このスリットとその内部のゴチャゴチャしたメカこそがスターウォーズの宇宙船のアイデンティティーと言って良い。【註1】


ファルコンもその例に漏れず、このスリットが…と言いたいところなのだが、ファルコンの場合、よく見るとスリットというよりは「側面が垂直に切り立っただけ」に近い。

 

…が、ここは資料よりイメージ優先でスリットっぽく処理。
スリット内は暗い色で構成することで立体感を出してそれを強調。
でもコントラストがつきすぎると目に刺さるので、ギザギザの頂点は淡い色を置いて和らげてみたり。

 

前方から。

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ファルコンのキャノピーは先細りでとがった印象だが、実際は意外に太短く、このサイズなら根本が3幅・先端2幅がジャスト。
でもそれだとどこかイメージと違うので、あえて先に行くに従い3幅→2幅→1幅…と細めにしている。
そのせいで1ポッチ分、前に長く伸びちゃったのが悩みの種…。

 

ボディーの円盤部分はほぼ正円にしているのだが、三角部分の先端がやや長くて鋭いので前後に伸びた印象に。
三角の先端は当初は2幅にしようと思っていたのだが、実物は2幅と1幅の中間くらいでどっちにも解釈可能…

「どうせならケレン味溢れた方がいいよね」と思い、キャノピー同様、先っちょを1ポッチ伸ばして1幅にしたった。
でもヘタレなので、この先端1ポッチはいつでも外して2幅にできるように組んでいる。


ファルコンには船殻各部に何ヵ所かメンテナンスハッチの様な穴が空いており、ここから内部がちらりと見える。【註2】
これが「フレームの上を薄い外装が覆っている」という構造と機能を感じさせる部分なので、ここはねちっこく再現したいところ。
穴の底に暗い色を置いて凹凸を強調しているのだが、外装を作る前の内部の芯を組んでる段階で暗い色が必要な場所を計算するのが面倒…。
途中で予定が変わって慌てて組みつけた外装をはがしてやりなおしたり、結構苦労した。

 

普段は先にプロポーション検討用モデルを組んで様子を見たりするのだが、この大きさだとそれもままならない。
おまけにファルコンはプロポーションとディテールが複雑に絡まり合あうので、私には珍しく簡単な図面を作ってプロポーションをチェックしながら細かい部分はぶっつけ本番で試行錯誤。

 

私は杓子定規な人間なので本来は何もかも「資料通りに」作りたいところだが、ブロックではそうもいかない。
「ブロックで表現する」という制約の中でどこを省略するか決める、つまり「落とすべきライン」と「落とすべきでないライン」を選別することがビルダーの行うべき最も大事な作業だと思う。
それは同時に最も個性の出る部分でもある。

 

私はどちらかといえばプロポーション重視だが、CAD設計だったら絶対に反映されない様な小さなディテールであっても、気になるラインは落とせない。
そこで実際に組みつけながら、全体との調和を考えて不自然でない程度のデフォルメを取り入れることが必要になる。

 

このスケールだと「この1ポッチ分のパーツはプロポーションを構成しているのか、それともディテールを表現しているのか?」が判りづらい。
そのため、その区別を色を利用して表現している。
基本的にプロポーションを表すパーツは白、ディテールは灰白色とし、全体の調子を見ながら変だと思ったら例外も作っている。

左右の丸いでっぱりや中心部のレーザー砲基部も本当は白いのだが、「ここは他と違って丸い部分ですよ」という説明のために灰白色にした。
こうしないと周囲と混じりあって丸く見えないのだ。

劇中のファルコンは全体に白だが一部灰色も混じっており、はじめはそれを忠実に再現しようと思ったのだが、ディテールを灰白色・穴やスリットのにしたことで良いバランスになったので、それで良しとした。
差し色として何ヵ所か赤を配している。
これ、本当は『東京タワー』セットに入ってる朱色っぽい赤が良かったんだけど、1×1の四角いパーツはこのセットにも入ってないんだよなー…。

アンテナに1×3を3個、レーザー砲基部に1×2の中央ポッチを1個使っている以外は形状的には基本パーツのみを使用。
ほぼモノトーンセットに入っているパーツで作れる。

 

後方から。

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ナノブロックには1×1以外に丸いパーツがないため、背面後部にある6基の丸いラジエターみたいなやつも四角いパーツで再現することに…。
2×2の円盤状パーツがあればなぁ…と思ってたら、当時新発売だった『スペースセンター デラックス』に円盤パーツが入ってるっぽい…しかも黒いのが、ちょうど6個…ゴクリ…。
でもいくら何でもこれだけのために安売りですら5000円以上するキットは買えないよなー…。【註3】

 

左後方より。

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エンジンノズル(?)は透明パーツを使用し、さらにその奥には空色のパーツを置いてあるのだが、スリットが薄いため殆ど見えず。

 

側面からだとこんな感じ。

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上面が結構厚くなってしまったので、下面も同じ作りにするといくらなんでも分厚すぎる…と思って、下面は一層分薄くしている。
それでもかなり厚ぼったいのだが、側面が薄いので上方から見るとそんなにもったり見えないはず。

 

裏面。

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ブロックの裏側は深くえぐれこんでいるため、裏面は作り込んでもあまり効果的ではない。
おまけにファルコンは裏側が目立たないので、あまりディテールは追わず、プロポーションのみのあっさり仕上げ。

 

ランディングギアはEP4では3箇所5本で、EP5・6では何故か5箇所7本に増えている。
なのでコレはEP4版。

 

【オマケ】

ミニミニ・ファルコン。

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鼻歌まじりで30分で製作。
そのわりにこちらは1×3のパーツを潤沢に使用。

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カントリーマアムくらいの大きさで可愛いです。

 

裏面。

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ランディングギアかわいいわー。

 

親子で並んで記念撮影。

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製作は2013年10月。

 

ナノブロ発掘写真シリーズはこれにて終了。

次回からレゴに戻る所存。

 

 

 

【註1:スリットとその内部のゴチャゴチャしたメカ】

&
【註2:内部がちらりと見える】

 

深く切れ込んだスリットとその内部にのぞく複雑な構造体に魅了されるのは男性の性である。

女児は人形遊びなど人間関係、つまり「日常の心理学」に惹かれ、男児は乗り物などメカニカルなもの、つまり「日常の物理学」に惹かれる傾向がある。

 

ついでに言えば、模型界において「擱座した戦車の破損孔からのぞく内部空間」とか、「整備中の航空機の開放されたメンテナンスハッチからのぞく機器」はディオラマ(情景模型)の定番となっている。
どうも我々は何かの外装を外し(つまりストリップさせ)、普段見ることのない内部構造を目にすることに魅入られているらしい。

さらにこれらのディオラマに共通するのは「稼働するべく作られたマシーンが(被弾や整備によって)動かない状態にあること」、つまりマシーンが自らの生まれたアイデンティティーを喪失した状態にあることである。


それを考えれば、自由に行動するべく生まれた女性が身動きできない状態に固定されて自らのアイデンティティーを奪われ、身を覆うものを外された挙句、普段は晒すことのない内部構造を露出しているコンテンツに一定の人気があることもまぁ理解はできよう。

ミレニアム・ファルコン組みながらこんなこと考えてる自分に軽く絶望。

 

【註3:スペースセンター デラックス】

ついでにこの新製品に触れておくと、『スペースセンター デラックス』という名前に騙されるが、要するにスペースシャトル・オービターとブースター、それに発射プラットフォーム(しかも似てない)がついているだけのものである。
パッケージにはケネディ宇宙センター第39複合発射施設のあの複雑怪奇な発射塔の実物写真が使われているのだが…

スペースセンターを名乗るなら小スケールでいいので、アレを丸ごとキット化してほしかった。

 

ちなみにナノブロの情景シリーズ『スペースセンター』(小箱の方)はさらにシンプル…
一応発射塔は付いてるものの、細すぎ。